2024/10/30

コレステロール値が高くて治療が必要なケース

 最近、コレステロール値を下げるために摂取したサプリによる健康被害が問題になっています。そもそもコレステロールは、全身の細胞の膜の材料になるとても大事な物質です。男性・女性ホルモンや副腎皮質ホルモンの原料にもなります。主に悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)があります。 悪玉コレステロールは、肝臓から全身へコレステロールを運びます。血液中のLDHコレステロールが増えると動脈硬化を起こし、血管の壁が硬く厚くなり、血管の内腔が狭くなります。動脈硬化が進行すると血管内腔がさらに狭くなり、血栓などにより閉塞し、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こします。 一方、HDLコレステロールは、血管壁に付着した余分なコレステロールを回収して、肝臓に運び、動脈硬化を防ぐ働きをする脂質です。 血液中のHDLコレステロールが少ない場合も、同様に動脈硬化の進行が起こります。喫煙、運動不足、肥満などが原因で数値が低くなることがあります。

 コレステロール値が高くなる原因として、①動物性脂肪の取り過ぎや運動不足、肥満など生活習慣に基づくものはよく知られています。その他、②閉経後の女性ホルモン低下や甲状腺機能低下症、糖尿病、ネフローゼ症候群などの疾患が原因となる場合もあります。そして問題となるのが、③遺伝的原因により高くなっている場合です。肥満がなく、食事にも気をつけているのに健診でLDLコレステロールが高いと指摘され、困惑している方が多く見られます。これは、遺伝的にLDLコレステロールを肝臓に取り込む受容体が機能低下しているためと言われています。

 治療の対象となるのは、①の人の中で食事や運動など生活習慣を改善したにもかかわらずLDLコレステロール値が高い人、そして②や③の場合などです。



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