ガンマナイフ治療とは

ガンマナイフとは脳の放射線治療に用いられる治療装置の一つで、約200個の線源から発するガンマ線を一点に集中させて、まるでナイフで切り取るかのように病巣を治療できることからこのように名づけられました。

洛西シミズ病院は2004年1月、京都・滋賀地域で初のガンマナイフセンターを併設しました。2017年9月には、マスクシステムと分割照射を実現した最先端機器ガンマナイフ・アイコンを導入し、患者さまに優しい低侵襲な短期滞在治療を行っています。アイコンは、従来のピンを使ったフレームベースの固定方法に加えてマスクシステムを採用し、患者さま一人ひとりにオリジナルのマスクを作成します。赤外線を利用してリアルタイムで患者さまをモニタリングし、精度の高い治療を実現しています。

最新機器では、これまで治療が難しかった、比較的大きな病巣や脳の機能障害をきたしやすい部位の病巣などを、分割照射でより安全に治療できるようになりました。治療実績は、現在約7600件にのぼります。アイコン導入後は1600件を超えています。

マスクシステムおよび分割照射については、未だ行っているところが少ないため、治療データを蓄積して全世界に発信することが当センターの使命の一つだと思っています。転移性脳腫瘍などで悩んでいる患者さまは、勇気と希望を失わないようにしてもらえればと思います。患者さまのQOLを最大限に維持できるよう、全力で取り組んでいきます。

左:

ガンマナイフセンター長 兼
医療法人清仁会 院長

佐藤 学

医学博士
日本脳神経外科学会認定専門医

右:

ガンマナイフ副センター長 兼
脳神経外科 部長

川邊 拓也

医学博士
日本脳神経外科学会認定専門医

person

ガンマナイフセンターの特徴と実績

先進技術による正確でより負担の少ない治療

洛西シミズ病院ガンマナイフセンターは2017年9月25日に、関西では初めて(日本国内では6台目)ガンマナイフ治療機のIcon(アイコン)を導入しました。

従来使用していたガンマ治療機器タイプCと比較した際の大きな違いとして、アイコンは定位的コーンビームCTと赤外線による体動の監視システム(IFMM) が組み込まれています。それにより、これまでのフレームによる固定に加えて、ガンマナイフの利点を生かしたうえでマスクシステムでの分割照射が可能になります。大きめの腫瘍や多数個で分割照射が望ましい場合等に威力を発揮します。

当センターではアイコン導入以降、マスクシステムのスムーズな運用システムを構築しており、ほぼ全例マスクシステムで精度の高い治療を行っています。

豊富な治療実績と経験

(各年1月~12月累計)

横スクロールでご確認頂けます
疾患名 アイコン
mask総数
(~2020.12.31)
2020年
(アイコン)
2019年
(アイコン)
2018年
(アイコン)
2017年
(9月からアイコン)
2016年 2015年 2014年
転移性脳腫瘍 1287 373 408 383 324 304 366 351
髄膜腫 193 48 60 65 43 29 29 35
聴神経腫瘍 80 29 27 23 14 26 23 11
脳動静脈奇形 38 14 7 14 12 7 7 6
硬膜動静脈瘻 14 3 7 4 4 5 3 4
海綿状血管腫 7 3 0 3 1 1 3 0
下垂体腺腫 37 18 11 7 1 4 4 3
頭蓋咽頭腫 14 4 3 6 2 3 1 2
悪性リンパ腫 14 3 3 6 2 11 2 8
三叉神経痛 38 14 9 15 1 10 8 7
神経膠腫 22 11 5 5 1 1 1 6
血管芽腫 6 1 4 1 2 1 2 3
脊索腫 3 2 1 0 0 0 0 0
三叉神経鞘腫 7 2 3 2 0 0 1 2
頚静脈孔神経鞘腫 3 1 0 1 2 2 2 1
その他神経鞘腫 4 2 1 1 0 1 1 2
その他悪性腫瘍 4 2 1 0 5 0 3 1
その他良性腫瘍 22 4 6 7 2 0 0 0
その他血管障害 0 0 0 0 0 0 0 0
その他機能疾患 1 0 0 1 0 0 0 0
合計 1791 534 556 544 414 405 456 442

おもな対象疾患と治療効果

ガンマナイフの対象となる疾患は、転移性脳腫瘍・髄膜腫・聴神経腫瘍・脳動静脈奇形・三叉神経痛などの頭部の病変が治療対象となります。

転移性脳腫瘍

がん細胞の脳転移を指します。小さくて少数個が良い対象となりますが、30mmを超える症例もよくあります。マスクシステムにより分割照射を行い、良好な初期成績が得られています。分割回数は10回程度に設定していますが、ご都合に合わせて通院での治療も対応させていただいており、抗がん剤治療のスケジュールに支障のないように調整することも可能です。また多数個の場合も全脳照射をできる限り避けてQOLを維持できるように配慮した治療計画を立てています。

治療の一例

転移性脳腫瘍

髄膜腫

脳を包んでいる硬膜から発生する頭蓋内腫瘍の代表例です。脳の深部(頭蓋底)に発生する場合、重要な脳神経や血管が絡んで、摘出術のみでは治癒困難なこともあります。基本的には良性で進行は穏やかですが、できる限り神経機能を保ち、腫瘍を大きくしないことが治療目的になります。長期的に見ても約90%で増大を抑えられます。従来治療困難と考えられていた、広範な腫瘍や視神経に接する病巣に対しては分割照射も行っています。

治療の一例

髄膜腫

聴神経鞘腫

聴力低下で気づかれることが多い、良性の腫瘍です。増大するとふらつき、意識障害などをきたします。小さい段階で増大が認められた場合、ガンマナイフ治療の良い適応と考えます。約90%で腫瘍が小さくなる、あるいは大きくならない効果があります。治療に伴う顔面神経麻痺(顔のゆがみ)は手術より低い頻度(1%以下)ですが、治療後半年から2年にかけて一過性に膨らむ場合が半数以上で認められます。基本的には、症状の悪化がない限り追加治療せず経過をみることで回復します。

治療の一例

聴神経鞘腫

脳動静脈奇形

脳の動脈と静脈が異常な血管で直接つながっている生まれつきの血管異常です。異常血管(ナイダスと呼ばれます)は血管壁が弱いため、1年で2~3%程度の出血リスクがあります。出血予防が治療適応ですが、放射線照射で血管壁に変性を起こし、内腔を徐々に狭くすることで閉塞に至ります。直径2cm未満では8割以上の閉塞が期待されます。治療後ゆっくりと効果が現れることや、数年以上の経過を経てのう胞(袋状の構造物)ができることもありますので、定期検診が必要となります。

治療の一例

脳動静脈奇形

三叉神経痛

顔に痛みの出る病気です。顔の感覚を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この三叉神経に痛みが起こり、一瞬の走るような痛みを感じます。まずはお薬で治療しますが、効果が薄れたりふらつきなどの副作用が出た場合、手術かガンマナイフ治療が適応となります。ガンマナイフは治療後3週間程度で効果が認められますが、6~9か月で再燃することもあります。また顔面のしびれ(三叉神経障害)の副作用も一定の割合で認められます。

治療の一例

三叉神経痛

マスクシステムでの治療方法

2017年9月のマスクシステム導入以降、マスクシステムのスムーズな運用システムを構築しており、 ほぼ全例マスクシステムで精度の高い治療を行っています。

マスクシステムとは?

フレームレスで治療が可能
頭部へ金属製のフレームをピン固定する必要がなく、身体への負担がこれまでより軽減されます。
分割照射が可能
1回照射だけでなく腫瘍の位置や大きさ、体積、個数に応じて、
放射線を数回照射する「分割照射」が可能になります。

単回〜複数回治療に対応

※疾患の特性に合わせてフレーム固定治療を行う場合もあります。

01. 病巣部の検査・治療計画(2~3時間)
01. 病巣部の検査・治療計画(2~3時間)@2x
MRI(磁気共鳴画像)、CTスキャン、また、病気によっては脳血管撮影を行い、病巣部位を決定、照射範囲、照射線量をコンピューターで正確に計算し、設定します。
マスクの装着(約20分)
マスクの装着(約20分)@2x
治療ベッドに寝ていただき、固定用枕をまず作成します。

約8分で固定し、続いて温めて柔らかくなったプラスチック製のマスクを被っていいただきます。約10分で固定します。

これで固定は終了し、複数回の治療にも対応できます。
治療位置合わせ
治療位置合わせ@2x
本体に一体化されたコーンビームCTを照射前に撮影し、作成された治療計画画像と合成することで正確な位置設定を行います。
照射(症例によって時間が異なります)
照射01@2x
照射中はベッドの上で横になっているだけで、痛みはありません。お好みの音楽を聴きながら治療を受けることもできます。
照射02@2x
マーカーや赤外線カメラを使用して高い治療精度および信頼性を維持しながらマスクシステムを用いることを可能にしています。
照射03@2x
作成したマスクと枕を使用することで分割・複数回治療が容易にできます。

治療の流れ

ガンマナイフの治療は、原則治療日数に合わせた入院治療を基本にしていますが、治療日数が長期にわたる場合などは途中から病状により通院での加療も可能です。ただし、年齢等により多少異なる場合がございます。

横にスライドすると図をご覧いただけます。
治療の流れ

※ 病気の種類や大きさなどによっては、1〜2日治療期間が延びることがあります。

よくあるご質問

費用はどのくらいかかりますか?保険は適用できますか?
ガンマナイフ治療の費用は治療、入院(差額室料は除く)、検査費用などをあわせて約60万円程度かかりますが、治療は健康保険の適応となっています。
一般的な健康保険に加入されている場合には、自己負担額は3割(約20万円)となります。70歳以上で1~2割負担の方も含め、詳細は病院窓口にてお尋ねください。分割照射でも治療そのものの費用は変わりありません。また、高額医療制度の利用も可能です。
髪の毛が抜けるなど、治療後に副作用はありますか?
一般的な放射線治療のように、髪の毛すべてが抜けることはありません。頭皮近くの病巣を治療した場合は部分的に生じますが、一過性のものですのでご安心ください。
また治療部位や疾患に応じて特有の副作用についても、治療前に充分担当医より説明させていただきます。
マスクシステムとフレーム固定にはどのような違いがありますか?
頭部が動かない点ではフレーム固定の方がより強固ですが、金属ピンでの固定による前額部の傷跡、固定に伴う苦痛など、比較的負担を伴います。
マスクはプラスチック製の固定具で再現性がありますので、何回かに分けての(分割)治療が可能です。さらに、治療中は赤外線カメラで微細な顔の動きも感知し、治療精度は担保されていますので、当院では負担軽減目的でマスクシステムを第一選択としています。
治療中に痛みはありますか?
「ナイフ」と名付けられていますが、切るわけではありませんので、治療に伴う痛みは全くありません。固定具のプラスチック製マスクが正確に照射できるようにぴったり圧着させるため、長時間治療となる場合きつく感じられるかもしれません。その際は、時間を分けるなど工夫して苦痛のないように努めています。
治療前、治療後の生活に何か制限はありますか?
治療前後での制限は基本的にありません。マスク固定の場合傷跡もありませんので、数日以上必要な分割治療の場合は、体調に合わせて治療中の通勤、通学を行っていただくことも可能です。治療後、パーマや毛染めなども問題ありません。疾患特有の制限(運転禁止期間など)については個別にご相談ください。

外来担当医表・診察案内

ガンマナイフ外来診察日

横にスライドすると外来担当医表をご覧いただけます

午前診 9:00 ~ 12:00 佐藤 学 佐藤 学/川邊 拓也 佐藤 学 佐藤 学/川邊 拓也 佐藤 学/川邊 拓也 川邊 拓也

お願い事項

  • ご来院の際には、紹介状・頭部画像(MRI、CT)・血液検査・心電図・レントゲン・保険証を ご持参ください。
  • 可能な限り、ご家族と一緒に受診してください。
  • 患者さまご自身の受診が困難な場合は、ご家族のみの受診も可能です。上記持参物をご持参ください。(別途費用が発生します)
  • 医師は、臨時の休みをいただく場合がありますので、医師をご指名される場合は事前に電話でご確認いただきますようお願いいたします。
  • 通常は、一度受診していただいたうえで治療適応の有無を判断させていただきますが、他院入院中あるいは自宅が遠方等で受診困難な場合は、受診なしで治療決定することも可能です。その場合は、ご紹介元の医療機関を通してご連絡ください。
  • 患者さまの送迎が必要な場合は、ご遠慮なくお申し付 けください。

ガンマナイフ術前検査

術前に下記検査を実施いたします。事前にデータがございましたら、ご持参いただきますようお願いいたします。

採血
末梢血液一般
生化学的検査(GOT、GPT、T-BIL、LDH、ALP、TP、T-Cho、BUN、CRE、eGFR、Na、K、CL、UA、BS)
感染症検査(HBs抗原定性、HCV抗体、TPHA定性、RPR)
心電図
胸部レントゲン

お問い合わせ

TEL、FAX、または直接ご来院の上、お問い合わせください。

医療法人 清仁会 洛西シミズ病院
所在地 〒610-1106 京都市西京区大枝沓掛町13-107
TEL 075-331-8778(代表)
FAX 075-331-8595(ガンマナイフセンター直通)

交通アクセス

公共交通機関にてお越しの方

京都駅方面からお越しの方

  • 京都駅より京都市バス[73]に乗車し、「国道沓掛口」にて下車、徒歩で約5分。
  • 京都駅より京阪京都交通バスJR 亀岡行き[2]に乗車し、「芸大前」にて下車、徒歩で約1分。

桂駅・桂川駅方面からお越しの方

  • 阪急桂駅東口より京阪京都交通バスJR 亀岡行き[1]・[2]のいずれかに乗車し、「芸大前」にて下車、徒歩で約1分。
  • JR桂川駅よりヤサカバス桂坂中央行き[1]に乗車し、「国道沓掛口」にて下車、 徒歩で約5分。

お車にてお越しの方

  • 名神高速道路(大阪・京都市内方面)ご利用の場合には、名神高速道路「大山崎JCT」より京都縦貫自動車道に乗り継いでいただき、「大原野IC」で降りて国道9号線に出て東方向(京都市内方向)へ約100mの国道沿い南側。(「沓掛IC」では降りられません)
  • 京都市内より国道9号線「沓掛口交差点」から西(亀岡方面)に約400mの国道沿い南側。
  • 亀岡方面からは、京都縦貫自動車道「沓掛IC」出口から国道9号線をそのまま走り約400mの国道沿い南側。